こんにちは、あちです。
今回は、埼玉県秩父市黒谷に鎮座する聖神社をご紹介します。
黒谷は、奈良時代に日本最古の貨幣「和同開珎」の原料となる自然銅(和銅)が発見された地です。
今も残る「和銅遺跡」が、その歴史を豊かな自然とともに伝えています。
そんな魅力あふれる地にある神社を、ぜひ一緒に見ていきましょう。
聖神社の由緒
聖神社は、奈良時代の708年に日本最古の貨幣「和同開珎」の原料となる自然銅(にきあかがね)が発見された事に由来します。
当時、自然銅は貴重であり、朝廷に献上されたことをきっかけに元号が「和銅」と改められ、日本初の流通貨幣「和同開珎」が鋳造されました。
この歴史的な出来事を記念し、銅の発見に関わった人々が鉱山の守護神として神を祀ったのが聖神社の始まりとされています。
以来、「銭神様」として金運・財運向上の神として信仰され、多くの人々に崇拝されてきました。
聖神社の見どころ
ご祭神
金山彦命(かなやまひこのみこと)
国常立尊(くにとこたちのみこと)
大日孁貴尊(おおひるめむちのみこと)※1
神日本磐余彦命(かむやまといはれひこのみこと)※2
元明金命(げんめいがねのみこと)※3
※1 天照大御神(あまてらすおおみかみ)
※2 神武天皇(じんむてんのう)
※3 元明天皇(げんめいてんのう)
ご神徳(ご利益)
金運・財運向上、商売繁盛・事業成功、開運招福・仕事運向上

ご神徳は神様の力そのものであり、ご利益とはその力からもたらされる恩恵と考えればよいと思います
社殿
本殿は、1710年(宝永7年)に現在の秩父市中心部にあった今宮神社の本殿として建てられたものです。江戸時代中期の工匠・大曽根与兵衛によって造られ、1964年(昭和39年)に聖神社へ移されました。翌年、歴史的価値が認められ、秩父市有形文化財に指定されています。




本殿は、日本の伝統的な「流造(ながれづくり)」で、屋根が前方に長く伸びた形状が特徴です。屋根は銅板ぶきで、長年の風雨に耐える丈夫な造りになっています。また、柱や梁には精巧な彫刻が施され、安土桃山時代から江戸時代初期の建築様式の影響が感じられます。
また、拝殿は「入母屋造(いりもやづくり)」という重厚な屋根構造を持ち、本殿と拝殿をつなぐ幣殿(へいでん)も備えられ、格式のある社殿の構成となっています。
和銅出雲神社
和銅出雲神社は、本殿左脇に鎮座し、大国主命(おおくにぬしのみこと)をお祀りしています。
もともとは1807年(文化4年)に建立されたもので、1964年(昭和39年)に現在の場所へ移築されました。




お社は、屋根が前方に伸びる伝統的な造りで、銅板で覆われています。屋根の前部分には、優美な曲線を描く装飾が施され、側面には精巧な彫刻が見られます。
また、毎年11月3日には例大祭が執り行われ、地元・黒谷に伝わる獅子舞が奉納されることで知られています。
八坂神社
八坂神社は、本殿右上に鎮座し、須佐之男命(すさのおのみこと)を祀りしています。


本殿の後方の風景に溶け込んでいるため、見落とされがちなお社ですが、絵馬掛け所の右脇にある石段を上がると参拝できます。
和銅鉱物館
和銅鉱物館は、境内左側に建つ資料館で、日本各地や海外で収集された和銅関連の鉱石類約350点が展示されています。


館内には、明治41年(1908年)に大野原古墳群の小円墳から出土した「和銅の時代」の遺物である「蕨手刀(わらびてのとう)」をはじめ、左甚五郎作と伝わる龍頭を源とする「黒谷の獅子舞」の獅子頭など、貴重な文化財も収蔵・展示されています。






和銅鉱物館は例大祭などの祭祀のある時に限り公開しています。
画像出典 秩父市 和銅保勝会
ご神宝
宝物殿には、「元明天皇から授かった雌雄一対の和銅製蜈蚣(むかで)」と「和銅石2個(採掘時は13個)」が収められています。これらは、和同開珎(銅銭)、旧記一巻、聖宮記録などとともに大切に保管されています。








和銅石13個をご神宝として祀り、また蜈蚣(むかで)が「百足」と書かれることにちなんで、文武百官(たくさんの役人)を遣わす代わりにと朝廷からいただいた雌雄一対の蜈蚣を御神宝としてあわせ祀りました。
以来、黒谷の鎮守様として1300年の長きにわたり「この上なく耳聡く口すべらかな」(何を言ってもその事をよく理解してくれ、人の心に染み入る言葉をかけてくれる)神として崇拝してきました。
画像出典 秩父市 和銅保勝会
ご朱印
ご朱印は書き置きのみとなります。


表に「拝殿」、裏に「和同開珎と御神宝である雌雄一対のムカデ」がデザインされた御朱印帳もあります。
和銅採掘遺跡
聖神社から徒歩15分ほどの場所に和銅採掘遺跡があり、高さ5mの巨大な和同開珎のモニュメントが建っています。


露天掘り跡がある沢は銅洗堀(どうせんぼり)と呼ばれ、昔はこの沢で採れた銅をきれいに洗い、都へと送られていたそうです。


この沢でお金を洗うとご利益が期待できるとされ、お金を洗い清める人が年々増えていましたが、現在は落石の危険があるため、沢は立入禁止となっています。
交通アクセス、基本情報
(1)関越自動車道花園ICより国道140号(皆野寄居有料道路経由)を秩父方面へ約40分
(2)秩父鉄道「和銅黒谷駅」下車 徒歩5分
名称 | 聖神社 |
住所 | 〒368-0001 埼玉県秩父市黒谷2191番地 |
電話番号 | 0494-24-2106 |
駐車場 | 有り |
トイレ | 有り |
最後に
いかがでしたか?
聖神社は、歴史と自然が調和する静かな場所に鎮座しています。和銅の歴史や美しい自然に囲まれたこの場所で、ぜひその深い魅力を感じてみて下さい。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。聖神社で素敵なひとときをお過ごし下さい。
神名の表記は、「古事記」や「日本書紀」に基づくもの、または一般的な表記を使用しています。ただし、祭神やご神体の名称、ご利益は、地域や神社、神仏習合の影響により異なる場合があります。